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海外「食」レポート
Torino Report
Vol.13 ピエモンテ・白トリュフの秋
Vol.12 全イタリアを覆うローコストブーム
Vol.11 東京イタリアン事情
Vol.10 遅れてやってきたエスニック大ブーム
Vol.9 ヘルシーなのにおいしいルカ・モンテルジーノのドルチェたち
Vol.8 トスカーナの大失態?ワインスキャンダルで考える
Vol.7 トリノからドンドン生まれる食の成功企業
Vol.6 1月17日「ザ・カルボナーラ・デイ」
Vol.5 チョコレートブーム
Vol.4 年末年始はアウトクトノで酔いしれたい。いや、一年中
Vol.3 ソレント生まれピエモンテ発のイタリア最高峰の魚介料理。
Vol.2 クリスマスが待ち遠しい!
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海外「食」レポート 私を刺激するヒト・モノ・コト〜Pairs, London, Torino, New York〜



Torino Torino Vol.12 2008年9月5日
全イタリアを覆うローコストブーム

宮本さやか
Photo by
Shun Kanbe
Torino・筆者プロフィール
宮本さやか(みやもとさやか)

トリノ在住フードライター。『料理通信』などの専門誌から『アエラ』、『ビオ』(クロワッサン ムック)まで、幅広く(脈絡なく)活動。

リグーリアの小さな港町NOLIは、中世の街並みが残るかわいい街であることに加えて、おいしい魚料理の店「Nazionale」があるのもお気に入りの理由の一つ。先日久しぶりに行って、私的名物「Zuppetta di vongole e cozze」を思い切り食べてきました。ボンゴレとムール貝を、トマトベースのスパイシーなソースで煮込んだもの。最後にパンを浸して食べるのが最高!

高級レストランのディフュージョンブランドが大流行中だ。ミシュランガイドやその他のレストランガイド等で高い評価を得ているシェフたちが、同じテイストの料理をローコストで提供する店を次々にオープンしているのだ。“イタリアのミシュラン”ともいえる「ガンベロロッソ」ではずばり「LOW COST」と銘打ったレストランガイドを出版して2シーズン目になる。


ディフュージョンブランドを手掛けるシェフたちの名前は、まさにイタリア料理界を代表するそうそうたるメンバーばかり。

イタリアに5軒しかない三つ星を堅持している「レ・カランドレ」のディフュージョンバージョンは、パスティッチェリアでもありバールでもあり軽く食事をできる店でもある「イル・カランドリーノ」。これは今年の4月、東京にも支店がオープンしているので、ご存知の方も多いのでは?


それからミラノの二つ星「サドラー」(日本では気を使ってイタリア風にサドレルと呼ぶようですが…)はワインバーの「シックン・クィック」。以下、ミシュラン二つ星軍団は、モデナ「オステリア・フランチェスカーナ」のマッシモ・ボットゥーラが「ラ・フランチェスケッタ」を、アルバ「ピアッツァ・ドゥーモ」のエンリコ・クリッパは「ラ・パイオーラ」、ヴェローナ「ペル・ベッリーニ」のジャンカルロ・ペルベッリーは「ドゥ・デ・コペ」を、といった具合。最近ではピエモンテの山奥の街、トーレ・ペッリチェにあった二つ星「フリポー」が本店は閉めてしまって、会員制の店をオープンすると発表してニュースになった。

この流れ、そもそもの始まりは、ミラノ郊外にあるトラットリア『D’O』(ド、と読む)のダヴィデ・オルダーニの大成功にある。マルケージ・ボーイズの一人である彼は、A・デュカス、P・エルメ、F・アドリアといった巨匠のもとで修業をした後、ミラノの老舗レストランの料理長を任されてさっさと一つ星を獲得したものの、それでは飽き足らず、自分の生まれ故郷であるミラノ郊外のコルナレードという小さな町で「ド」をオープン。1年後にはあっという間にミシュラン一つ星をゲットするが、その内容は他の高級店を揶揄するかのようなもの。たとえば「玉ねぎのカラメッラータ パルミジャーノのジェラート添え」はもはや「ド」の看板料理だけれど、高級食材を使って大勢のスタッフが手をかけて作れば旨いのは当り前だろう、俺は手近な食材だけで高級料理を作るよ、というのが彼のコンセプトだ。サーヴィスもカジュアルに徹底してローコストを追及。11ユーロ50セントのランチ、コースでも32ユーロという値段は、ミシュラン星付きレストランでは最安値であることは間違いない。安い玉ねぎとパルミジャーノでここまで仕事をするか! という感動的においしい料理がいくつかあって、あとは普通なのだが、その丁寧に作られた素朴さが受けたのか、約30席の小さな店内は予約何カ月待ち、という状態がずっと続いている。

この流れを、イタリア全体を覆っている不景気の影響、とみるジャーナリストたちも少なくないが、シェフたちは口々に「不景気とは関係ない。僕の料理をもっとたくさんの人たちに食べてもらいたいから」と語る。名誉や評価よりも実をとる、イタリア料理らしいありかただ。景気が回復してもずっと続いてほしいブームだと思う。


Il Calandrino
via Liguria 1 Sarmeola di Rubano (PD)
tel. +39 049 630303
http://www.calandre.com

CHIC 'N QUICK
Via ascanio sforza, 77 Milano
Tel. +39-02. 58104451
http://sadler.it

La Franceschetta
Via Vignolese, 58 Modena
Tel. +39-059.30 91008

La Piola
Piazza Risorgimento 4 Alba, Cuneo
Tel. +39.0173.442800
http://www.piazzaduomoalba.it

Du De Cope
Galleria Pellicciai .10 Verona
37121 Verona
Tel: +39-045 595562

D’O
Via Magenta,18 Loc.San Pietro all’olmo Cornaredo,Milano
Tel.+39-02-9362209

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