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海外「食」レポート
今月の「学会」レポート
京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」
Vol.4 野飲の醍醐味
Vol.3 新たな年のはじまりに寄せて
Vol.2 日本酒、世界へはばたく。
Vol.1 日本酒の今、そしてこれからに思うこと
マスターソムリエ 岡昌治の「心に残る今月の一本」
名店の賄い

京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」



Vol.2 日本酒、世界へはばたく。 2007年12月4日

瀧本 洋一 瀧本 洋一 TAKIMOTO Youichi

京都「名酒館 タキモト」取締役副社長。
日本酒指導師範、利酒師。『名酒情報』発行人。
著書に「酒屋のおやじが薦める 旨酒 186蔵」(扶桑社/刊)。
その他、お酒に関するコラムの執筆や、イベント等でパネラーを務める他、各地で酒販アドバイザーとしても活躍中。

先日、当店『名酒館タキモト』主催の「名酒を楽しむ会」で、「吟醸ひやおろしの会」を開催いたしました。実は、この会にはもうひとつ「世界にはばたけ!日本酒の今」というテーマがありました。と申しますのは、参加いただいた3つの蔵元、「齊弥酒造店(秋田)」「藤井酒造(広島)」「菊姫合資会社(石川)」は今年の春、ロンドンで開催されたI.W.C.(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)でゴールドメダルを受賞された蔵元なのです。

I.W.C.というのは1984年に創立された大規模なワイン・コンペティションで、世界に大きな影響力を持つことで知られていますが、今年、2007年にはじめて「SAKE部門」が創設されまして、その記念すべき第一回のゴールドメダル受賞酒を味わっていただこうという企画でございました。

I.W.C.の審査というのは、大変厳しいものであるそうですね。400名近いワインの専門家による完全ブラインド・テイスティング方式の審査が行われるそうです。その内には共同議長を務められているサム・ハロップ(SAM HARROP. MW)氏はじめ、世界でも最難関といわれるワインの資格「マスター・オブ・ワイン」の称号を持つ方々が40名以上いらっしゃるそうですから、相当な権威ある賞と言えると思います。

受賞酒の傾向をみると、日本人の評価とは全く違うな、というのが率直な印象です。
基本的には酸度が高く、ボディのしっかりした、飲みごたえのある酒が選ばれたように思います。これは、ヨーロッパの食文化における酒のあるべき姿、ワインのように食べながら楽しむための酒、すなわち「食中酒」という嗜好が基本にあるのでしょう。日本の伝統的な酒の飲み方といえば、刺身のような淡白な肴をちょこちょことつまみながら酒だけを飲むようなスタイルでしたが、西洋では肉料理や熱い料理に合わせても美味しい「日本酒」というものが求められているのかもしれません。僕は、伝統の「淡麗辛口」も大切、でもこうした欧米の基準を受け入れてもいいんじゃないかと思っているんです。日本酒離れの激しい若い世代や女性のライフスタイル・嗜好にも合っているように思います。外国で、今のそうした日本人のライフスタイルに合う酒というのが評価されて、ブーメランのように戻ってきてくれるといいと思います。意外にも、そこに日本酒存亡の危機を回避するヒントがあるかもしれません。

それから、酵母の違いなどもよく理解されていたことに驚きました。「由利正宗」のように、昔から受け継がれてきた蔵付酵母で仕込んだ酒が評価されていますし、他にも全体に「小仕込み」「手作り」の酒が高く評価されたように感じます。こうした地方文化を担っていた自醸蔵による、いわゆる「地酒」こそが「日本酒」として外国で評価されているということに、我々日本人が、逆に学ぶ事もあるように感じました。

今日、蔵元の若手後継者には外国語が堪能な方々も多くいらして、彼らの存在というのは非常に大きな力を持っていますね。日本の自然、民族的な風土、伝統の技などをあらためて評価し、体系的に世界へ発信していくためには、語学力だけでなく、呼応する教養、日本の文化を守ってきた誇りが必要だと思うのです。

折しも先日発売された『東京ミシュランガイド』でも3ツ星に選ばれた8店のうち、5店が寿司・和食店であったと話題ですね。こうした機会に、日本の食文化、またそれを取り巻く背景文化をしっかり伝達するものとして、「日本酒」も世界へはばたいていって欲しいと願っています。


「名酒館タキモト」今月の一本
厳選された日本の名酒を揃える京都「名酒館」の中から、主人 瀧本さんにおすすめの一本を選んでいただきました。
蒼空 雪の茅舎

秘伝山廃(純米吟醸酒 )720mL¥1,785(税込)
蔵元:齋彌酒造店(由利正宗)(秋田県 本荘市)
http://www.yukinobousha.jp/
杜氏:高橋藤一 氏
秋田の自然と伝統の技、留まることのない革新の意気で世界をも魅了
齋彌酒造店の酒造りは、杜氏をはじめとする蔵人自らの手で酒造り好適米(秋田酒こまち)を栽培するところから始まります。その米を、由利本荘の良質で豊かな雪解け水と、酒造りの鬼と言われるベテラン杜氏の卓越した技が生む「自家培養酵母」で仕込みます。また、精米から出荷まで、全ての行程を蔵内で行うという徹底した「自家製造」にもこだわられています。こうした素材へのこだわりや伝統の技を守りながらも、新たな酒造りの研究にも余念がありません。真摯な酒造りの姿勢で、日本の新酒鑑評会においても連続の金賞受賞と高い評価を得ている名蔵です。
今回、I.W.C.ゴールドメダルを受賞した「秘伝山廃 (純米吟醸)」は、そのこだわりの全てが結晶した見事な仕上がりで、「本物の日本酒」の旨さに国境など無いことを証明したともいえましょう。あきたこまちらしい米の旨みと、山廃仕込みによる華やいだ香りとふくらみのある味わいで、しっかりと飲み応えのある逸品です。世界も魅了した「本物の日本酒」の素晴らしさを、ぜひお試しいただきたいと思います。
お問い合わせ: 「名酒館」
京都市下京区六条通高倉東入ル
TEL:075-341-9111
URL:http://www.eonet.ne.jp/~takimoto/


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