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海外「食」レポート
今月の「学会」レポート
京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」
Vol.4 野飲の醍醐味
Vol.3 新たな年のはじまりに寄せて
Vol.2 日本酒、世界へはばたく。
Vol.1 日本酒の今、そしてこれからに思うこと
マスターソムリエ 岡昌治の「心に残る今月の一本」
名店の賄い

京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」



Vol.3 新たな年のはじまりに寄せて 2008年1月25日

瀧本 洋一 瀧本 洋一 TAKIMOTO Youichi

京都「名酒館 タキモト」取締役副社長。
日本酒指導師範、利酒師。『名酒情報』発行人。
著書に「酒屋のおやじが薦める 旨酒 186蔵」(扶桑社/刊)。
その他、お酒に関するコラムの執筆や、イベント等でパネラーを務める他、各地で酒販アドバイザーとしても活躍中。

いやぁ、もう、年末年始はバタつきまして・・・。
でも、「お正月」の声を聞くと、やっぱりお酒を飲みたくなるのがまだまだ日本人というものなんだなぁ〜ということを実感できて、嬉しい悲鳴でした。

年の始めなので、何か明るい話をできないものかと、いろいろと考えてみたのですが、明るいニュースが聞こえてきませんね。(笑)
「日本酒存亡の危機」ということに関連したお話をさせていただきましたが、どうやらそういう局所的な話では済まない、日本の「食」の未来を担う私たち自身に異変が起きているという話が大変気になっています。

「食品の消費期限の偽造問題」など、随分と大きな社会問題となっておりますが、ちょっとおかしな話だな?と感じることもあります。そもそも「消費期限」などという基準のなかった時代は「苦み」で毒性、「酸味」で腐敗の危険を判断していたわけで、そういう味覚を通して人間の「感覚・能力」が鍛えられてもいたわけですよ。それが豊かな社会になって、食べるものも「商品」として食べきれないほど流通するようになって、「消費期限」の切れたものはどんどん捨てられてしまうようになった。それと同時に、私たちが本来持っていた感覚や能力も失ってしまったんですね。

その結果、「旨味」がわからなくなってきたというから困ったものです。専門家によれば「五味」が感じられない、特に「苦味」と「酸味」がわからない「味覚音痴」が若年層を中心に社会問題化しているという話です。豊かで飽食の世の中になって、嗜好が甘物や肉類などに偏っていったことなどが一因のようです。
子供の頃に、この味覚の発達が妨げられると、大人になっても「旨味」を感じなくなってしまうんだそうです。昔は、子供の頃は好まぬ味でも、大人になると味覚が変わっていって美味しく感じられるようになるという切り替えが、和の生活様式の中にはあったのですが、そういう多様性の豊かさが無くなっていってしまうんでしょうか?
世間では盛んに「食育」という言葉も叫ばれておりますが、将来にわたって美味しくお酒を飲んでもらうためにも、子供の頃からの味覚の鍛えが重要ということですね。そのためには「リッチ」とか、そういうことではない本当の「豊かさ」、ふつうの暮らし、日本の風土に合った伝統的な和食、家族でテーブルを囲んで会話をしながら食べることも唾液がでて美味しくするとか、本当にそういう「あたりまえ」だったことがすごく大切なことだという、「あたりまえ」のことに気づかされます。

そういうことを見つめ直す意味でも、お正月とはいいものですね。ご家族で、おせちやお雑煮といった日本の伝統食をいただきながら、美味しい日本酒を飲んでいただいて、「本当の豊かさ」、そんなことを少しでも味わって、新たな良い年をお迎えでいらっしゃいますことを願っております。


「名酒館タキモト」今月の一本
厳選された日本の名酒を揃える京都「名酒館」の中から、主人 瀧本さんにおすすめの一本を選んでいただきました。
〆張鶴 純 〆張鶴 純

(純米吟醸酒 ) 720mL ¥1,512(税込)
蔵元: 宮尾酒造株式会社
杜氏: 藤井正継
噛めば噛むほど、ならぬ、飲めば飲むほどに米の旨さが染み入る「旨酒」
「久しぶりに飲んだけれど、やっぱり旨い」と瀧本さんを唸らす名酒のひとつ。
創業は文政2年(1819年)という蔵元で、長い歴史と伝統、加えて、新潟・村上の豊かな自然に育まれてきた「〆張鶴」は、酒造りで有名な「越後」においても多くの日本酒ファンに愛される、代表的な酒です。
なかでも純米吟醸酒の「純」は、地元米の「五百万石」を50%精米して低温長期発酵をさせ、優雅な吟醸香と、透明感のあるきれいなお米の味わいを表現する、淡麗辛口の非常に美しい酒に仕上げられています。
  越後の酒は特別に和食と合うと感じます。刺身などはもちろんですが、豆腐というものが、また良く合いますよ。司馬遼太郎氏も語っておられるように、「豆腐を肴に酒を飲む」というのは、日本の伝統的食文化における形式美のひとつだと思っています。
お問い合わせ: 「名酒館」
京都市下京区六条通高倉東入ル
TEL:075-341-9111
URL:http://www.eonet.ne.jp/~takimoto/


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