TOP

File of recipient
海外「食」レポート
今月の「学会」レポート
京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」
Vol.4 野飲の醍醐味
Vol.3 新たな年のはじまりに寄せて
Vol.2 日本酒、世界へはばたく。
Vol.1 日本酒の今、そしてこれからに思うこと
マスターソムリエ 岡昌治の「心に残る今月の一本」
名店の賄い

京都・名酒館 主人 瀧本洋一の「旨酒」



Vol.4 野飲の醍醐味 2008年4月14日

瀧本 洋一 瀧本 洋一 TAKIMOTO Youichi

京都「名酒館 タキモト」取締役副社長。
日本酒指導師範、利酒師。『名酒情報』発行人。
著書に「酒屋のおやじが薦める 旨酒 186蔵」(扶桑社/刊)。
その他、お酒に関するコラムの執筆や、イベント等でパネラーを務める他、各地で酒販アドバイザーとしても活躍中。

新酒で新年を寿ぎ、雪見酒、花見酒、月見酒、紅葉酒…。
日本には古くから、春夏秋冬、自然と一体となって酒を楽しむという伝統文化がありました。それは貴族的な「風流」の世界に限らず、誰もが上下なく、平らに、平等に、丸く座をつくる、優れたコミュニケーションの文化でありました。

それが近代国家になって、時間や場所、ゆとりや機会が失われ、また酒を飲むシーンというのがビジネス世界の中に主役を奪われ、楽しむだけのものでは無くなってしまいました。 それはとても残念なことです。

『土佐日記』には、作者の紀貫之が舟で京に帰るのを見送りに来た人々と、砂浜で酒を酌み交わしている様子が書かれています。別れを惜しみ、最後のひとときを楽しく過ごし送り出す思いもあったでしょうが、当時の土佐から京への船旅とは、現代とは比べものにならないリスクを背負ってのものであったはずです。「自然の力」に身を委ねなけらばならない。「別れ」の意味合いも随分と異なるものがあったことでしょう。そこで飲む酒というのは、道中の平穏無事を、そしていつの日か叶うやも知れぬ再会を願い、天にも祈る、敬虔な気持ちの表れであったのではないかとも思います。

また今日でも、沖縄などにまいりますと、人々が夕涼みに海を眺め、酒をチビリチビリとやっている光景を目にすることが多くあるといいますね。特別なことなどない日常の暮らしの中でも、日々、自然の中で過ぎてゆく一日に、また人生に思いを馳せながらチビリチビリ・・・何と豊かなお酒でしょうか。

自然の力というものは何ものにも代え難く、また、酒を飲むということはそれに通ずる道でもあるということです。
李白の『月下濁酌』其二の、
    三杯過大道(三杯 大道ニ通ジ)
    一斗合自然(一斗 自然ニ合ス)
このあたりは、そのことを見事に言い得ていると思います。

そんなところで、ちょうど季節もよろしく、花見酒とまいりましょうか。

去る4月6日(日)OFFICE 「NEXTAGE」さんの企画で『第3回日本酒を楽しむ会〜酒蔵見学&観桜の宴』が開催されました。
まずは伏見の酒蔵「藤岡酒造」を見学した後、場所を乃木神社に移し、観桜の宴という企画。当日はこの春いちばんの暖かさで穏やかな陽気、絶好のお花見日和でした。

藤岡酒造さんは、このコラムの第1回「今月の一本」でも紹介をさせていただいた「蒼空」というお酒を造っていらっしゃる蔵です。今年はじめて造ってみたという、「山田穂」といって「山田錦」のおかあさんにあたる酒米で造った新酒をいただきました。40%まで精米された「山田穂」を、伝統的な手法で丁寧に手作りされた純米吟醸は、見た目にも味わいもすっきりと、とても美しいお酒に仕上げられていました。

場所を「乃木神社」に移しての宴では、「蒼空 純米」(京都/伏見)、「桜吹雪 賀茂金秀 (特別純米)」(広島/東広島市)、「春の酒 石鎚(純米吟醸)」(愛媛県西条市)、「四季桜 春の宴(特別純米)」(栃木/宇都宮市)、「上喜元(純米)」(山形/酒田市)、「竹泉(純米)」(兵庫/朝来市)を花見弁当とともに楽しみました。

参加メンバーは約30名、性別も年齢も関係なく、学生さんから大学教授や行政書士の先生方、ナノテクの最先端技術者がいるかと思えば、京都で一番古い出版社の編集人もいる。脚本家や友禅染めの作家さんなどの芸術派、と多種彩々の日本酒を愛する人々が集い、桜を愛でつつ杯を酌み交わし、和気藹々と楽しい観桜の宴となりました。


「名酒館タキモト」今月の一本
厳選された日本の名酒を揃える京都「名酒館」の中から、主人 瀧本さんにおすすめの一本を選んでいただきました。
〆張鶴 純 春の酒 石鎚

(純米吟醸酒 ) 1.8L ¥3,045(税込)
蔵元: 石鎚酒造(株)(愛媛県 西条市)
http://www.ishizuchi.co.jp/
石鎚山系の名水がはこぶ春の酒
石鎚酒造は大正9年(1920年)、西日本最高峰「石鎚山」のふもと、名水の郷として知られる愛媛県/西条市に創業されました。
この地に流れる石鎚山系の清冽な水は「日本の名水100選」にも選ばれるもので、また西条・周桑平野の穀倉地帯を控え、酒造りに非常に適した気候、風土の中にあります。
平成11酒造年度より、杜氏・蔵人を置かず、家族4人を中心に「手造り」にこだわり、非常に丁寧な酒造りを続けられています。
この「春の酒」は、桜の下で心地よく飲んでいただきたい、そんな思いを込めて、松山三井・兵庫山田錦50%精米を手作りで丁寧に醸し、やわらかな果実のような吟醸香とソフトな米のうまみが口中に広がる、華やかな純米吟醸酒に仕上げられています。
名の通り、春の野飲にぴったりの、気持ちもはなやぐお酒です。
お問い合わせ: 「名酒館」
京都市下京区六条通高倉東入ル
TEL:075-341-9111
URL:http://www.eonet.ne.jp/~takimoto/


   会社案内  お問合せ  プライバシーポリシー  リンク Copyright © Takeshi Kadokami Food Lab. All rights reserved.