鳩は日本で飼育されたフランス南部のナント原産のユーロピジョンのミマスです。
香港の鳩料理に使われる鳩の大半は、広東省南部の新曾、中山で飼育されたもので、ミマスは広東産の鳩とは品種が異なります。また、ひな鳩を使うのが一般的です。
今回、日本で飼育され入手が可能になったミマスは、生後5〜6週間以上の成長したもので、その分、骨や肉がしっかりとし、香港のひな鳩に比べ、味が濃く、野性味があり、風味も豊かです。福臨門ではその点を見極め、日本で飼育されたミマスの肉質、味、風味を生かしながら、広東料理特有の料理方法で調理しています。
広東料理における鳩料理は各種あります。
代表的なのが丸揚げの「脆皮焼乳鴿」。他に紹興酒で煮込んだもの、オイスターソースで煮込んだもの。また、身をそぎ切りにし、炒め、中国ハムの「火腿」を添えた料理などもあります。
今回の「豉油皇乳鴿」は、湯通しした仔鳩をたれ汁に漬け込み、中国たまり醤油の老抽などを加え、煮込んだもので、油は使われておりません。中国たまり醤油の味、風味が、味の濃いしっかりとした鳩肉に合い、持ち味、香りを引き立てている料理だと思います。
鳩を使った料理は、一部は宴会料理に起用されることがありますが、鳩を一羽使った丸揚げ、煮込みなどは、本格的な正式の宴会料理にはあまり登場せず、もっぱら家族や親族、親しい仲間との食事の際、郷土料理の「小菜」とともに、コースの一品に起用されます。今回のような地方料理、郷土料理を中心としたコースにはうってつけの料理であり、ハイライトの一品となるものです。