石斑(はたの類)を揚げ(実際には煎り焼きにし)、豚肉や干椎茸などの細切りを炒め合わせた具材とともに、二湯(二番だし)で煮込み、醤油、オイスターソースなどで調味した料理の「紅炆石斑」をもとに、苦瓜を加え、豆豉(醗酵黒大豆)などによるあわせ調味料の「豉汁」で味付けした料理です。
「魚料理」は本格的な宴会料理には欠かせないもので、「魚」の発音にちなんでコースの締めくくりの料理として登場します。その場合、大きな魚を蒸した「清蒸」と呼ばれる蒸し魚が用意されるのが一般的です。もっとも、家族や親しい仲間などとの食事では、蒸し魚などよりも、魚の揚げ煮込みなど、様々な魚料理がコースに組み入れられます。しかも料理そのものを味わい、楽しむことから、コースの最後、締めくくりの料理としてではなく、コース半ばに「大菜」的なメインのご馳走としてて並べられます。
「紅炆石斑」(もしくは「紅炆海斑」)は、香港で広く親しまれている広東地方の伝統的な魚料理の代表的な一品で、特に「あら」に似た大ぶりの魚、また大ぶりの「はた」の砂ずり、腹身などヒレのついた部位や尾などの「斑翅」と呼ばれる部位を使った「紅?斑翅」が好まれています。また、魚の種類によっては正式な宴会料理に登場することもあります。
「紅炆」という料理方法は、醤油味主体で、オイスターソースが加味された広東地方独特のものです、むろん、海鮮の魚は時価ですので、高級料理ということになります。
それら「紅炆石斑」や「紅炆斑翅」は、伝統的な広東料理を看板にする料理店では通年用意されています。それも、体を温める料理として、主に秋から春の季節に食べることが多いようです。そこで、夏場には体の熱気を冷ます効果のある苦瓜(涼瓜)を加え、「涼」と「熱」のバランスをとったこの「豉汁涼瓜炆紅斑」が好まれます。苦瓜特有の持ち味、特徴である苦味、その清涼感を一層引きたてる「豉汁」の味付けが施された料理です。
ちなみに、苦瓜を、同様に「涼」の性質を持つ茄子に代えた「茄子炆紅斑」などもあります。その場合、独特の苦味、また、醗酵風味のある干し蜜柑の「陳皮」が隠し味として使われます。茄子も「加茂なす」、「青茄子」などの大ぶりの茄子が、こうした魚の揚げものの煮込み料理には向いているようです。