各種の野菜、また、淡水や海鮮の魚介、家禽類、肉類をぶつ切りにし、あるいは、つみれ状にし、煎り焼きにし、調味に様々な工夫を凝らし、炒め、二湯(二番だし)を加えて煮込み、土鍋で供する炒め煮込みの「煲仔」は、広東地方、また、香港の代表的な郷土料理です。野菜だけを素材にした炒め煮込みの「素菜煲」などもあります。それらに緑豆の澱粉から作られた「春雨」を加えたのが「粉絲煲」です。
「梅辣茄子煲」は「煲仔」の代表的な一品で、旬の素材である茄子を使ったものです。「茄子」を素材にした「煲仔」には、塩漬け醗酵魚の「咸魚」で味、風味付けをした広東地方独特の「魚香茄子煲」があります。それと共に親しまれているのが「梅辣茄子煲」です。
「梅」は、梅を素材に作った調味料の「梅子醤」を味、風味付けに使っているもので、酸味だけでなく甘味もあります。「辣」は、辛味の意味で、広東地方独特の唐辛子味噌である「辣椒醤」、もしくは、四川料理に使われる「豆板醤」が使われます。そこに新鮮な唐辛子の小口切りなども使われます。つまりは、茄子の「梅子醤」、「豆板醤」風味の炒め煮込みです。さらに、春雨を加え「梅辣茄子粉絲煲」としました。
香港では、日本の茄子に似ていますが、形状の長い長茄子が使われます。やはり、日本の茄子とは、少々、味、風味が異なります。日本で一般的に市販されている茄子でもこの料理は可能ですが、今回は埼玉産の「青茄子」を使いました。「青茄子」は果肉が緻密で、青さと甘さがありながら、煮込んでも煮崩れず、だしを吸い、なおかつ、青茄子本来の持ち味を損なわない頑丈さを特徴としています。そうした「青茄子」の味、風味、特性を生かした料理です。