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今月の「学会」レポート



第58回 2007年10月の学会
柏屋(日本料理/大阪)

ご案内状

2007年10月度 学会の記録

【テーマ】
「月見の宴」

【会詳細】
日:2007年10月14日(日)
場所:「柏屋」

【参加者】(順不同/敬称略)
橋本憲一  京都「梁山泊」主人
佐々木浩京都「祇園さ々木」主人
木村篤司大阪「北新地 いか里」主人
ドミニク・コルビ大阪「サクラ(ニューオータニ大阪)」シェフ
永沼 巧大阪「あやむ屋」主人
津村眞次大阪「津むら」 主人
高山龍浩大阪「トゥールモンド」オーナーシェフ
河宮拓郎大阪「あまから手帖」編集部
本郷義浩大阪「毎日放送」プロデューサー
波多野泉大阪「ハタノ・クリニック」医師
永井慶和神戸「永井半」銘木商
ハリー中西京都「ハリーズアイ」カメラマン
門上武司大阪「あまから手帖」編集主幹

【料理構成】(写真撮影/ハリー中西)

先付
朝鮮唐津舟形 鮑軟煮、水菜黄菊紅菊浸し、山葵
鮑軟煮、水菜黄菊紅菊浸し

菊花弁皿 鮪づけ五種
  • 生雲丹どんぶり紅菊和、山葵
  • 長芋黄菊和、芽葱、生姜酢
  • アボカド、鶉玉子温玉、芥子
  • 焼椎茸紅菊おろし和、露生姜
  • 白髪葱針山葵黄菊和
菊花弁皿

煮物椀
金襴手 はも葛叩き、飛龍頭、松茸、青菜軸、煮梅、柚子
金襴手

造里
菊割小鉢 鰈菊造り、肝酒煮、浅葱、菊花、紅おろしポン酢
琵琶向付(小) 車海老、鳥賊、防風、胡瓜人参市松重ね、菊花、紅蓼、山葵
菊割小鉢 琵琶向付(小)

染付蕎麦猪口 小芋のスフレ、煮穴子、岩茸、松茸
染付蕎麦猪口

八寸
菊花皿 蒸鴨ロース、銀杏、フォアグラ味噌ダレ焼
菊葉皿 菊菜、黄菊、干子浸し
染付銀彩珍味入れ 栗すり流し、鮎叩き寄せ
根来盆
菊花皿、菊葉皿、染付銀彩珍味入れ、根来盆 菊花皿、菊葉皿、染付銀彩珍味入れ

焼物
黄南京菊 甘鯛海老塩辛漬焼
黄南京菊

鉢物
菊蓋物 蕪煮、しらす人参真蒸、ほうれん草、吉野あん、すり生姜
菊蓋物

箸休
紅貫入 長芋素麺(湯)、モロヘイヤすり流し、菊花山葵和え、スダチ酢
紅貫入

御飯
小丸椀 松茸入り鮑ご飯、もみ海苔、焼雲丹あん副えて、三つ葉、針柚子
小丸椀

水物
黒足馬上杯 マスカット、秋姫、ラズベリー、エルダーフラワーソーダ
黒足馬上杯

菓子
久田好み小吸物 胡桃餡入り菊白玉、白小豆汁粉
久田好み小吸物

抹茶 “一滴翠”
大徳寺管長 嶺雲室 高田明浦御好

10月の宴ということなので、テーマは「月見」である。料理から設えにいたるまで、どこかに月が表現されている。
小芋のスフレ。これは松の実をすりつぶし生クリーム替わりとした。参加者は、生クリームが入っているのかと思った。
八寸に入った栗のすり流し、鮎の叩き寄せ。「これは某フランス料理店の、鮎の料理からヒントを得たものです」と。栗の甘みと鮎の苦味が見事な出会い。
焼き物の甘鯛海老塩辛焼きは、「一碗水で食べた鶏の料理を食べた瞬間にできあがった料理です」。ウロコはカリッと、海老の旨みを見事に行かしています。
締めの菓子「先月、みなさんと食べた福臨門の胡麻団子から、胡桃餡入りの白玉を作りました」と。これは全員そう思ったが、この遊び心が素晴らしい。


【感 想】
この会は最後に各人、当日の印象を述べる。
佐々木:5年前は、「招福楼」そのもの。どちらかといえば、固い料理という印象をうけました。今回もお椀が見事です。煮梅の塩加減など素晴らしい。鰈の薄造りの薄さが僕とは違うのですが、それは料亭と割烹の違いかもしれません。
ドミニク:ミシュラン東京が出版されるが、今日の料理なら三つ星レストランでしょう。味のバランスが、どの料理もいい。白ワインを頼んだが、この相性もよかった。
橋本:前は固い料理と思った。今回は料理に対する哲学が見えた。自由度が増したということ。これが料理、つまり一期一会という松尾さんの意志が貫き通されていた。
木村:気合いが乗っている。いい勉強になりました。
波多野:ここで食べるのは5回目。頭で考えることの多い料理でした。
河宮:文学で言うと、芥川賞より直木賞という感じでした。五感を総動員して味わう料理。スフレや八寸などにそれを強く感じた。文化的な香りがするということかもしれません。
永井:なんて誉めてよいのか分からないぐらいに素敵な料理でした。すべての料理が、見事に松尾さんのモノになっています。
高山:引き出しの多さというか、それに驚きました。こんなスフレを出されたらホントにどうしようという思いです。
津村:完璧でした。久し振りに背筋のピンと伸びる思いがしました。
ハリー:料理人同士は、内容について質問をしそれに答える。カメラマン同士集まっても、フィルムや機材について質問することがありません。それがすごいと思いました。
本郷:テレビの番組を作るという視点から考えると、こういった料理人相手に料理を作るドキュメントを撮りたいと思いました。献立を考えるところから、買い出し、厨房の中、そして食事中のシーンなど。おそらく刺激を与える番組になるはずです。
門上:一皿ずつの完成度は素晴らしい。今月パリのレストランでも食べたが、三つ星と比較しても決して引けを取らない料理が何皿もありました。その緊張感をたのしく思ったのです。

【総 評】
以前の料理と違ったというのが全体の印象。松尾さんのオリジンが強く表れている。これからもっと面白くなるはず。多くの料理を食べ、そこから刺激を受け、それを熟成させ、自分の料理として昇華している。

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